投資を始める際に多くの人が悩むのが、「一括投資」と「積立投資」のどちらを選ぶべきか、という点です。特にNASDAQ100のような成長力のある指数では、この選択が20年後の資産形成に大きな影響を与えることになります。今回は1993年から2012年までの20年間を対象に、一括投資と積立投資を比較したシミュレーション結果を見ていきましょう。
シミュレーションの条件
今回のシミュレーションは以下の条件で行いました。
- 対象：NASDAQ100
- 期間：1993年〜2012年（20年間）
- 積立投資：初期投資0円、毎日1,000円を積み立て（合計約503万6,000円）
- 一括投資：約503万6,000円を初日にまとめて投資
- 実質コスト：年0.323%を考慮
シミュレーション結果の概要
シミュレーション結果は以下になります
- 積立投資
最終評価額：約1,198万円
利益額：約694万円 - 一括投資
最終評価額：約3,523万円
利益額：約3,020万円
一目でわかるように、一括投資の成績は積立投資を大きく上回りました。特にNASDAQ100のように長期的に高成長を続ける指数では、一括で投資をして「時間を味方につける」ことの効果が大きいことが数字で表れています。
チャートで振り返る値動き
ITバブルの急上昇と崩壊（1999年〜2001年）
1990年代後半から2000年にかけて、ITバブルによりNASDAQ100は急激に上昇しました。この時期に一括投資をしていた人は大きな含み益を経験したものの、2000年以降のバブル崩壊で資産は大きく下落しました。
一方、積立投資ではこの下落局面でも買い付けを継続することで「安値で多くの口数を買う」効果が働き、バブル崩壊後の回復局面で徐々に評価額が改善しました。
リーマンショック（2008年）
2008年のリーマンショックでは再び大きな下落が発生しました。一括投資の場合、資産は一時的に大きく目減りしましたが、長期で見ればその後の回復で再び評価額は上昇しています。
積立投資にとってもこの下落は厳しいものでしたが、下落局面での「安値買い」の効果が長期的にはプラスに働きました。
欧州債務危機（2011年）
2011年には欧州債務危機が発生し、株価は再び大きく揺れました。しかしこの時期を含めても、NASDAQ100全体としては成長基調を維持しており、長期投資の優位性が確認できます。
一括投資と積立投資の特徴
今回の結果から、一括投資と積立投資のそれぞれの特徴を整理してみましょう。
一括投資のメリット
- 成長市場においてはリターンが圧倒的に大きい
- 投資期間が長いほど複利効果が大きくなる
- 過去データでは数千万円規模の利益も可能
一括投資のデメリット
- 投資直後に暴落が来ると大きな含み損を抱える
- 精神的に耐えられない場合がある
積立投資のメリット
- 暴落時に安値で買い増しできる「ドルコスト平均法」効果
- 精神的な負担が小さく、初心者でも継続しやすい
- 大損しにくい
積立投資のデメリット
- 急成長の局面ではリターンが伸びにくい
- 一括投資と比べると最終的な資産額は劣る
どちらを選ぶべきか？
シミュレーションでは一括投資が圧倒的に優位でした。しかし、現実には「一度に500万円を投資できる人」は多くありません。また、大きな下落に耐えられず途中で売却してしまうリスクもあります。
一方で積立投資はリターンは控えめですが、堅実に資産を積み上げられる方法です。初心者や精神的な安定を重視する人には向いています。
まとめ
1993年から2012年までの20年間、NASDAQ100に投資した場合のシミュレーションでは、一括投資が圧倒的なリターンを記録しました。しかし、積立投資にもリスク分散や心理的安定という大きなメリットがあります。
投資に「絶対の正解」はありません。自分のリスク許容度、投資資金、ライフプランに合わせて選択することが大切です。
今回のシミュレーションが、あなたの投資スタイルを考えるきっかけになれば幸いです。
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