投資信託を利用してNASDAQ100に長期投資をした場合、「コスト」が最終的なリターンにどれほど影響を与えるか、ご存知でしょうか?
一見わずかに思える年間0.323%という実質コストですが、20年という長期で積み上がると、驚くほど大きな差となって表れます。今回は「コストを考慮しない積立」と「コストを考慮した積立」の結果を比較し、長期投資におけるコストの重要性をデータから解説していきます。
シミュレーションの条件
- 対象指数:NASDAQ100
- 投資方法:毎日1,000円を20年間積立(初期投資は0円)
- 積立合計金額:約503万円
- シミュレーション期間:1986年~2024年までの各20年間区切り
- コスト設定
- コストなし:信託報酬等をゼロと仮定
- コストあり:年間0.323%を控除
この条件で算出した結果が、以下のシミュレーション表になります。

コストによる差はどれほど大きいのか?
例えば直近の 2005年~2024年 の20年間を見てみましょう。
- コストなしの場合
- 最終評価額:約3,304万円
- 利益:約2,801万円
- 収益率:+557%
- コストありの場合(年0.323%)
- 最終評価額:約3,155万円
- 利益:約2,652万円
- 収益率:+527%
差額はおよそ150万円。
投資額は同じ503万円でも、コストの有無でこれだけの差が生じてしまうのです。
過去の異なる期間での比較
さらに過去の期間を見ても、この傾向は一貫しています。
- 1990年~2009年
- コストなし:約1,366万円
- コストあり:約1,302万円
- 差額:約64万円
- 1988年~2007年
- コストなし:約2,021万円
- コストあり:約1,925万円
- 差額:約96万円
- 1999年~2018年
- コストなし:約1,507万円
- コストあり:約1,448万円
- 差額:約59万円
どの20年間でも、コストの影響によって数十万から百万円単位の差が出ています。これは、複利で運用される長期投資においてコストが雪だるま式に効いてくることを示しています。
なぜ0.323%がこれほど効いてくるのか?
投資信託のコストは毎年「資産残高に対して」差し引かれます。
つまり、資産が増えれば増えるほど差し引かれる金額も大きくなり、長期投資ではその影響が累積されていきます。
例えば20年後に資産が3,000万円に成長していたとすると、0.323%のコストは年間約10万円近くに相当します。これが毎年差し引かれることで、最終的なリターンは大きく削られるのです。
投資家が意識すべきポイント
- 低コストの商品を選ぶことが最優先
同じNASDAQ100に連動する投資信託であっても、信託報酬が0.3%と0.1%では20年後のリターンに数十万円~数百万円の差が出る可能性があります。 - 長期投資ほどコストの影響は大きくなる
短期的にはあまり気にならなくても、20年、30年のスパンで考えると無視できません。 - リターンは「市場の成長 × コスト差」で決まる
NASDAQ100は過去に大きな成長を遂げてきましたが、その果実を最大限享受するには、余計なコストを削る工夫が不可欠です。
まとめ ― コストを制する者が投資を制す
今回のシミュレーションから明らかなように、長期投資における数%以下のコスト差が、最終的には数百万円規模の差になることが分かります。
NASDAQ100のように成長力の高い指数に投資する場合でも、コストを軽視すれば本来得られるリターンを大きく損なってしまいます。
これから投資を始める方は、まず「どの商品を選ぶか」よりも、「どれだけ低コストで長く続けられるか」に注目してみてください。コストを味方につけることこそが、長期投資の最大の武器になるのです。
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